セカンドオピニオン
セカンドピニオンを聞くにあたり、兄夫婦が、最適と目星を付けたのはKT病院のS島先生。日本で10本の指には必ず入る名医中の名医らしい。
ユキさん(義姉)が強引に予約を取り付けてくれる。彼女の行動力には本当に目を見張る。物怖じしないすごい人だ。
今日は、出版前の大詰めで出張校正の日だったのだけど、著者に詫びて途中で抜けさせてもらう。昼過ぎに、大急ぎでKT病院に向かった。
1才になるリンちゃんを連れたユキさんと母がすでに受付をすませ、待合室で待っていた。ユキさんは子育ての大変なときに赤ちゃん連れなんてもろともせず、明るい笑顔で私を迎えてくれた。
私の母も強い女性だが、ユキさんも本当に強い女性だ。最強の二人と一緒に、名前を呼ばれるのをひたすら待つ。
3時間近く待ったところで、ようやく診察室に呼ばれる。
「お待たせしてしまって、すみません。あっ、赤ちゃんいるんですね。この椅子で大丈夫ですか?」
と、S島先生が、紳士的に気遣ってくれる。瞬間的に素晴らしい先生かもしれないと思った。感覚的で説明できないけど、ものすごく信頼できそうだと。
持参したMRIと診断書を見せると、先生は真剣に写真を見ている。まだはっきりした病理が出ていない段階だったのだけど、今の段階で言える先生の見解をとても分かりやすくて丁寧に話してくれた。とても優しく誠実な語り口で。
正確な病理が出たら、すぐに私にFAXしてください。そしたら、あなたに連絡しますから。
「えっ? どうやってですか?」
「お電話しますよ。」と。
信じられない気さくさ。日本で指折りの名医なのに、こんな強引に割り込んだ私達の事を親身になって考えてくれている。
「よければ、転院して私が診てもかまいません。今日部長にも相談しておきます」と。
ただただ、感動する。この先生は本当に病気を治したくて、患者を助けたくて医者をしているような、誠実な誠実な人だ。
母も義姉も私も、皆同じ気持ちになっている。
昨日まで、悪性かもしれないとの見解をちらつかされ、落ち込みが激しかったところに、希望が湧いてきた。
全ては病理の結果次第だけど、吉とでようが、凶とでようが、この先生に診てもらいたいと心の底から思った。
三人で気持ちを明るくし、病院をあとにした。
私は修ちゃんのところへ行き、この朗報をすぐに伝えた。修ちゃんも喜んでいる。
S島先生に是非会いたいと。修ちゃんも今の病院を不信に思っていたようだ。
久しぶりの気分が良く、ずっと欲しかったMelissa Joy Manningのピアスを買って帰った。