残酷な

 

 芽生は昨日、少し微熱があったが今朝には下がっていたので、とあえず保育園へ連れていく。水遊びはキャンセル。様子はいつもと変わらず元気で歌いながら自転車に乗っている。
 芽生を送る自転車の道中は、唄を歌ったり、バスにバイバイしたりして、楽しいひとときだ。日射しが強くて、日焼けしてしまうけど。

 午前中に、TI大学病院から電話があり、手術のための検査があるので、同意書にサインしてほしいとのこと。って、何の手術をするのかも聞いてないのに、何言ってんだ?? 相変わらずの不誠実さにあきれる。

 そのことを義姉に電話で伝えると、ちょっと待っててと言って、直接先生に確認し、転院する手筈が整っていることを伝えてくれた。それならば、いいですとあっさり。
なんなんだ。。。
 
 そのあと、再び私が直接主治医に電話したところ、
「まだ、最終的な病理の結果は出てないのだけど、今日の夕方にでもお話しましょう。ご本人と奥さんだけでもいいですよ」と、相変わらず軽い。

 どんな話しになるのか分からないけど、不安になり、すぐに兄に電話すると、夕方来てくれることに。金沢にいる父にも電話するとすぐに来てくれることに。二人に付いててもらえれば、安心だ。

 夕方、カンファレンスルームで、現段階の病理の説明を受ける。先日トイレの前で言われた見解と同じようなこと。腫瘍は松果体の良性のものではなく、脳幹付近から出ている悪性のもので、悪性度は高い。

 このことをとても事務的に、心ない言い方でたんたんと話してくる。
 うつろな目を合わせているような合わせてないような視線で。この人、誰に向かって話してるのだろうか?

 もちろん、みんなショックでどん底に落ちる。這い上がろうにも這い上がれない。
いつも冷静な兄が声を荒げて、
「でも、まだはっきりしてないんですよね?」と言うが、
「まぁ、でも、おそらく間違いないでしょう」と。

 残酷な人間だ。少しの配慮もない。もうこの病院にいる理由は何もない。
 早く転院してS島先生に治療してもらおう、とそればかり考えた。

 一番ショックと恐れでおののいているのは、本人だろう。暗い顔をしているけど、涙が止まらない私の肩を支えてくれている。修ちゃんが一番辛いはずなのに。
 耐える事ができなくて、申し分けない。

 修ちゃんには、「早く転院していい先生に手術してもらおうね」と精一杯のことを言い、病室をあとにした。

 ロビーではユキさんとヒデとリンちゃんが待っていた。
 私はユキさんの前で泣き崩れる。