転院

 
 今日はいよいよKT病院に転院する。朝8時30分に父とヒロミと修ちゃんを迎えにいく。
 修ちゃんは荷物をきちんと揃え、準備万端で待っている。何の未練もなく、振り向く事もなく病棟を出る。まぁ、この病院で水頭症の手術をやってもらえたし、まったく感謝していないわけではないのだけど。
 入院の会計も今日はしない。

 足早に車に乗り込み、KT病院へ急ぐ。
 到着するとすぐに入院の説明があり、修ちゃんは採血や心電図やレントゲンやMRIなど検査が目白押しとなっている。

 父とヒロミと何をするわけでもなく、待ち合い室でぼんやりしたり、話しをしたり、慰めあったりしてしばらく過ごす。お昼ご飯をタニタ食堂で食べ、バランスのいい食事でお腹をふくらます。


 食事のあと、様子を見に兄も顔を出してくれる。忙しいのに、ありがたい。しばらくして、父が金沢に帰る時間となる。父には本当に心配をかけている。そして精神的にも経済的にも力強く支えてもらっている。
 ついつい甘えてしまうが、心の底から感謝している。帰り際、涙ぐみながら手を握り「本当にありがとう」と伝える。

 ひきつづき何もすることもなく、ヒロミとぼんやりしたり、コーヒーを飲んだり、庭を散歩したり、ときどき修ちゃんの様子を見に行ったり。
 ヒロミがずっとそばに居てくれるので、ひとり孤独になることもなく、穏やかに過ごせる。一緒にいるのがとても楽で、頼もしく、ありがたい存在。

 修ちゃんは多くの検査をこなすのに忙しそう。前の病院とはうって変わり、ここで自分の病気を治す気合いが感じられる。強硬な手段に出たが、本当にこの病院に転院できてよかった。

 戦いの幕が切られた。やるしかない。