天竺をめざす

 
 昨日の説明会のお陰で、最近では珍しく悪夢も見ずに寝られた。

 朝から芽生は元気、ご機嫌でいつものように早朝自転車で保育園へ、そして会社へ。
 保育園で園長先生に会い、近況報告。本当に親身になってくれている。ありがたい。
 とても好きなタイプの人柄なのでついついあれこれと話してしまう。明るく優しく受け止めてくれるのが分かっているから。

 担当の新刊出版に向けて、大詰め。情緒の不安定さが手伝って、ついつい著者へ厳しくしてしまう。あんまり細かいことを気にしたり、気遣ったりする暇はないという感じ。

 夜、修ちゃんの様子を見に行く。老眼鏡をかけて本をじっくり読んでいる。目の神経の近くに腫瘍があるとのことだから、ほどほどにしてもらいたいところだけど、本の虫の時代に入っているらしい。まぁ、いいことだけど。

 澁澤龍彦の『高岡親王航海伝』を貸してあげた。胸に銃弾を打ち込まれながら、デッドマンのごとく天竺をめざす。今の修ちゃんの心境、シンパシーを感じているのかもしれない。名作。


 帰り際にラボから電話があるが、あまりはっきりとした事も言えず、のらりくらりとした返答をしてしまった。余計に心配させてしまったかもしれない。
 でも、あまりの深刻さに、何から話せば、どんな気持ちで話せばいいか、修ちゃんは話して欲しいのか、、、いろいろ考えると口ごもりせざるおえない。
 まぁ、こういうことは話したい時に話したい人に話せばいいのだと思う。

 帰るとまだ芽生とバアバが仲良く遊んでた。芽生をギューギュー、ギューギューと抱っこする。
 あぁ、可愛い。可愛い。最高の癒しだ。