回復への一歩

 今日からまた日常が始まる。朝、保育園に芽生を送り、会社に行き、病院へ様子を見に行く。このルーティンに慣れたいが、体力的にかなり消耗する。

 午前中、Y先生と打ち合せ。打ち合せ後に親身に話しを聞いてくれる。Y先生とは日頃から仲良くしてもらっていて、なにかと縁深く、入院する朝も電話をしなくてはならない用があり、思い溢れて電話口で泣いてしまった。それ以来いつも気にかけて激励のことばをかけてくれる。本当にありがたい。

 集中して仕事をかたづけ、病院へ。
 フジロック帰りのヒロミ(義妹)が病院へ寄ってくれるとのこと。今日はひとりで行かなくてはならないこと、憂鬱に感じていたので、とたんに安心して嬉しくなる。
 
 病室に入る前、手術以来の経緯、状態、病気のこと、ひととおりヒロミに伝える。涙をためながら、時々流しながら、じっと聞いている。

 「でもさ、きっときっと良くなるよ。だって修ちゃんだもん」
と二人で励ましあって、病室へ向かう。修ちゃんの兄弟姉妹は本当に支えになってくれる。彼らといると簡単に乗り越えられそうな気持ちになる。最高の兄弟姉妹だ。

 病室に入ると、昨日より少し調子が良さそうにベッドに横になっていた。
「おっ、ヒロミか。」と。
よく見えてないようだけど、なんとなく分かるようだ。

 目は相変わらず。でも今日はトイレまで歩いたとのこと。ものすごい進歩だ。ここ数日の光景からは想像もできないくらいの回復。不自由さはまだまだ残っているけど確実な進歩が見られて心から嬉しくなる。
 「人と話すと気が紛れるよ」と言うが、それでも、ごく近い人としか会いたくない様子。
 
 ヒロミのフジロック報告を楽しく聞き、音楽談議になる。修ちゃんはいつもよりは口数は少ないが、要所要所で音楽知識を発揮する。アーティスト名とかバンド名とかやたらとはっきりと覚えている。音楽データは全然衰えていない。何よりのことだ。