単純なもののほうが

 芽生は朝からなんだかグズグズモード。「イヤイヤ」言ってみたり、「キャーン」って泣きまねしてみたり、複雑なことをしながら朝ごはんを食べている。あまり相手にせず、「ふーん」と観察していたら、そのうち飽きてテレビを見出す。かまってほしいだけなのかな。

 午前中、主治医のS島先生から電話があり、ビックリしながら電話にでる。焦りが伝わったのか
「びっくりさせてしまって、すみません」と、相変わらずいい先生。
明日から放射線治療が始まることを伝えてくれた。手術などで忙しく、私が行く夕方の時間帯は会える機会が少ないことを察してくれたのか、本当に行きとどいた先生だ。
 いただいた電話で申し分けなかったのだけど、放射線の副作用について、最近の気になる症状について質問攻めにしてしまった。それについても面倒なそぶりもひとつも見せず、全てに誠実に答えてくれた。
 手術でも、薬でも、放射線でもなんでも、治療には副作用がつきものだ。悩ましい。

 急ぎの仕事があり集中してこなし、夕方病院へ。


 毎日10階までのエレベーターの中「今日はどうかな、、、」と、緊張しながらのぼる。緊張度はいつになっても変わらない。そしていつも少しお腹が痛くなる。

 ベッドを覗くと、修ちゃんは真っすぐ上を見てボンヤリしている。私に気付くと嬉しそうに身体を起こす。その時の顔が小動物のようで可愛いらしく見える。普段はぜんぜんぜそんなガラじゃないのだけど。

 痙攣止めの薬が効いているらしく、今日も痙攣は起こしてないよう。顔色もいい。視点が合わないことがストレスになってきているように伺えるが、芽生の写真が見れるようになって、嬉しそうにしている。可愛くて写真をなでなでしたりしている。

 今日あったこと、直近のことを忘れがちになってきいているのが心配になるが、きっと痙攣止め薬の副作用だろう。大手術の後遺症ももちろんある。時期によくなるはず。

 そろそろ元気も出てきたし、ベッドで寝ているだけじゃ退屈で、ラジオでも聞いたらどうかと昨日セッティングして帰ったが、手元がまだよく見えず消せなかったのか、電池の消耗でラジオが止まっていた。

 ならばi-Podは、と思うが操作がもっとめんどくさい。
 ボタンのでかいラジカセとかウォークマンとか単純なやつがこんなとき役立つのだろう。だけど、今時は売ってないのかな。