効き目


 今日からお盆休みに入る。芽生はわりと早くに目覚めて、「パンダ、ピッピ、しーまー(しまじろう)」と言いながらお人形を並べて遊んでいる。少し小さめの高い声が朝日に混じって心地よい。

 午後、昭治くんと幸子さんと待ち合わせて、フコイダンの説明会に。修ちゃんの症状を少しでも改善できるだろうと、注目している健康食品だ。ガン細胞の増殖を抑制するだけでなく、今の治療の副作用を緩和してくれる作用が期待できる。説明会でそのメカニズムや効果を理解する。やれることは何でも試してみようと。

 説明会の後、昭治くんと幸子さんと三人で病院へ向かいながら、治療のことや健康食品のことについていろいろと話す。

 病院には、一足先に母と父が芽生を連れて到着していた。
 芽生はトッチャと手術日以来の再会。
 最初、丸刈りにし髭を綺麗に剃ったトッチャに少し戸惑い、しばらくじっと見つめていたものの、
「メイ〜!」というその太くて大きな声に、それがトッチャだということをすぐに思い出したよう。そして「トォー!」と言って満面の笑みでニコニコ突進していく。感動的で目が潤む。

 子どもは、必ずしも視覚的なことだけじゃなくて、声とか匂いとか雰囲気とかいろいろなこともちゃんと感覚的に覚えていて人を認識するのだ。すごく感心させられる。

 修ちゃんも久々に芽生を抱っこし、
「いやぁ〜、やっぱり芽生は可愛いなぁ。大きくなったなぁ。」と嬉しそうに嬉しそうに、頬をひっつけたりしている。

 放射線治療抗がん剤治療、健康食品ももちろん効果を期待しているが、芽生の存在が、何よりものくすりであることは間違いない。
 天真爛漫な芽生が、「エーイ!」と叫べば、病気をどっかに追いやってくれるような気がしてならない。