離れていても

 昨日の帰省ラッシュの疲れからか、芽生はいつもより遅くに目覚める。いつもと違う風景に目をパチパチさせながらいるが、そのうち珍しい場所に興味が湧いてきて「これは? これは?」といろいろな物を指差し、私を振り回しはじめる。可愛らしい。
 古い田舎の家で見るもの見るもの珍しく、あちこちを探検している姿が、まさしくトトロのメイのようだ。猫バスが迎えにきそう。

 
 午前中、お墓参りへ。父方、母方それぞれのお墓をまわる。さえぎるものが何もなく、立っているだけでクラクラしそうな炎天下でも、芽生は張り切って歩きまわったり、石を拾ったりしてタフに遊ぼうとする。そして、ちゃんとお墓の前で手を合わせる。エラい子だ。
 私もいつもよりもずっと真剣にお参りをする。


 今日は、千恵ちゃん、ヒロミ姉妹が修ちゃんのところに行ってくれている。夕方、ヒロミから電話が鳴り、出ると修ちゃんの声がする。驚き!ヒロミの電話を借りてかけてくれたようだ。
 まさか声が聞けるとは思っていなかったので、嬉しくてたまらない。芽生も電話口で「トーウ!」と叫ぶ。ちゃんと聞こえたかな。
 私が寂しいだろうと思ってかけてくれたとのこと。相変わらず驚かせたりするのが好きな性分、まったく泣かせる人だ。

 千恵ちゃん報告によると、今日もわりと元気そう。ロビーまで歩いて外の風景を楽しんだり、食事やおやつもしっかり食べたりと。兄妹達で楽しく談笑しているのが目に浮かぶ。
 
 私が居ないあいだも、回復の兆しが目に見えて分かるようで嬉しくなる。
 今夜はお盆らしく、静かにゆっくり眠れそうだ。