ハイタッチ


 今日は放射線治療、化学療法の中間検査のためにMRI撮影がある。ここのところ修ちゃんが快復傾向にあるので、波風立てずにしばらくこのまま穏やかに過ごしたいと思ってっいた。少しくらい気持ちを休めたく。
 楽観的にきっと良くなってるはず、治療が効いてるはずだと思いたいけど、やはり事実を知ることが恐く、朝から気もそぞろ。
 着ていく服も決まらず、保育園への送りもぎりぎり、バスにも電車にも乗り遅れ、お昼ご飯を買いに入ったコンビニでは買うものが決められず。

 どんなことでも受け入れる強い精神力をもちたいけど、私の器では難しく、やはり弱い気持ちのほうが大半で、現実を知る事から逃げたくなるのが正直なところだ。
 

 夕方、ヒロミと待ち合わせして病院へ。ヒロミは私の気持ちを気遣ってくれ、今日も一緒にいてくれる。ありがたい。

 病室につくと、ちょうどMRI検査中のようで修ちゃんはベッドにいない。軽くため息がでる。
 しばらくして修ちゃんが戻ってくるが、最近リハビリがハードになってきたようで、少し疲れている様子。この炎天下の中、駅まで徒歩で往復するらしい。坂道なのでけっこうきついはず。リハビリもいいけど熱中症とか心配になりキャップを渡す。お気に入りのカワセミのキャップ。「これが可愛いんだよな〜」とカワセミを見ながら嬉しそうにしている。

 いつものように三人で談笑。外泊中の芽生のはしゃぎっぷりが話題の中心。
 修ちゃんは治療の影響か味覚が変わってきているようで、以前は美味しいと感じてたものが不味く感じるらしく、多少好き嫌いをしながら夕食を食べる。まぁ、食べれるものを食べればいい。

 あれこれ言いながら夕食を食べていると、主治医のS島先生がさっそうと現れ、
「検査結果でたよ。良くなってるみたいだよ!」と。
キャッホー!! 三人で歓声を上げた。先生も嬉しそう。
 私はあまりにも嬉しくて少し飛び上がる。そのままハイタッチとかして勝利を称えたいくらいだ。
そして、修ちゃんの嬉しそうな顔、安堵の表情、何よりだ。

 手術以来、放射線治療、化学療法のステージに入っているが、今のところ大きな副作用も脱毛くらいで、しかも治療も効いているなんて本当に素晴らしい。この勢いで今回の1クールを終えることを願うばかり。

 私たちはすっかりテンションも高まり、馬鹿げた話しをたくさんし、たくさん笑う。そして帰りぎわ、芽生がいつも保育園から帰るときに友達とするように、修ちゃんとヒロミとハイタッチをして病室を出た。


 母に電話をすると、芽生が「ママーーー」と電話口で言っている。
「メッちゃん、今から帰るからね!」というと
「はぁーい。ババーイ」と答えてくれる。
芽生とは電話でもコミュニケーションが取れるようになった。

 ここ数週間で芽生も目覚ましく成長、修ちゃんも目覚ましく快復。ふたりともスゴい。さすがの親子だ。