コミュニケーション


 最近、修ちゃんは自由に行動できるようなってきた。病院内のコンビニで必要なものも買えるし、外歩きもしているし、放射線とリハビリをこなすとあっという間に3時近くになり、適度にお昼寝もするようだ。
 そういうわけで、毎日行っていたお見舞いも一日おきとすることにした。口癖のように「まり子も無理するな」と言ってくれるので。とはいえ、私のほうが毎日様子を知りたいという気持ちもあるのだが。

 昨日は直帰し、芽生とたくさん遊ぶ。保育園でさんざん遊んでいるのに、帰ってからもほんとによく遊ぶ。疲れ知らず。
 そして、よく喋る。「あか、あお、きいろ」「リンゴ、もも、キウイ」。そして、「はい、どうじょ」となんでもくれる。優しくて健やかな性格。
 一緒にお風呂にはいると、「はい、ママー」といってお湯をかけてくれる。右足、左足ひとつずつ。可愛い子と可愛らしいコミュニケーションの連続。

 今朝は、体調が悪く脈が乱れるが、這うようにして芽生を保育園に送りに行く。ママの体調が悪くてもなんのその、芽生はすこぶる元気。元気にひっぱられて力を振りしぼる。
 今日は仕事を休むわけにもいかず、落ち着いてから出勤。一日中、脈拍を意識して過ごす。

 夕方から修ちゃんのところへ。病室に近づくと、男同士盛り上がっている声が外まで聞こえる。修ちゃんと昭治くんだ。昭治くんはわりと早めに来てたようで、久しぶりに兄弟で盛り上がっている。きっと音楽の話しをしてたのだろう。

 今日は、S島先生から、治療の中間報告と今後のことなどいろいろ話しを伺う約束。修ちゃんと昭治くんとヒロミと私でカンファレンスルームに入る。
 先生は先日のMRIを見ながら、放射線と化学療法の効果がおそらく出てるだろうとの見解を説明してくれる。本当に効果を発揮するのはこれからで、そうなると予想されると。引き続き期待したい。
 私は退院した後の生活や治療のこと、昭治くんは新薬のことや再発した場合の治療の可能性など、念入りに質問する。
 再発か。。。あまり考えたくないけど、全く無いわけでもない。。。まぁ、今考えることではないけど。

 先生は、真剣な質問からわりとくだらない質問まで、ひとつひとつ分かりやすく丁寧に答えてくれる。質問に対して選り好みをしないところや、自分から話しを切り上げないところも素晴らしい。時間が許すなら、ずっとお話ししていたい。
 先生も私達と話すのがまんざらでもないように見える。勝手にそう思っているだけだけど。
 「この病気はね、いい人がなる傾向があるんですよね」と独特なことを言ってくれ、嬉しいようななんだか複雑な気持ちになる。お医者さんならではのリップサービスかもしれないけど、病人的には褒め言葉だと思っていいだろう。修ちゃんも少し照れている。

 修ちゃんはいい人というか、いいヤツであることは間違いない。気遣いができるし、ユーモアがあるし、どんな人でも受け入れる器もある。そんな人のよさにつけ込んで病魔がやって来たのか、、、。ずうずうしくも、畜生め。

 病気はストレスが原因とか一般的に言われがちだけど、修ちゃんを見ていると、ストレスとの因果関係なんかないように思える。まったくストレスが無い訳ではなかっただろうけど、それに支配されるほどでもなかったはず。
 単に、きつねにつままれる、運命のいたずら、突然変異、超常現象とかオカルト的なハプニングと思えて仕方がない。