母の強さ

9月23日(日)

 夫の入院以来、私にとって一番お世話になっているのは、誰を差し置いても実家の母だ。母は修ちゃんの病気発覚の知らせを聞いて、トランクひとつで電車に飛び乗り駆けつけてくれた。約3ヵ月前のこと。以来ずっと私達のそばに居てくれ、芽生と私の世話をしてくれている。
 昔から健脚な人だけど、今回の決断力と行動力と素早さにはただ頭が下がるばかり。いつも迷惑ばかりかけている私は、愛情あふれる両親に感謝してもしきれない。

 母はいつも明るく元気でしっかり者、そして強気。落ち込んでいる私をいつも叱咤激励、いや、叱咤のほうが多いが、ともかく強く広い心で私を受け止めてくれている。根拠の無い強気だけど、その強さが眩しくもあり羨ましい。
 芽生にとって私もそんな母親になれるのだろうか。

 先日から母が一時実家に戻り、その間、妹達が入れ替わり来てくれる。私の末の妹と夫の末の妹。2人とも可愛らしい風貌と、末っ子特有の甘え上手さと、タフさを持ち合わせている。相通じるところ多く、芽生は2人ともを「ゆーちゃん」と呼ぶ。本当はゆーちゃんとヒロミちゃんなのだけど。。。
 彼女達が近くに居てくれて、本当にありがたい。


 今回の外泊は、夫の調子があまり良くなかった。これまでは、毎回毎回快復してきているのが目に見張るほどだったけど、今回は時折、目眩と吐き気をうったえ、横になっている時間も多く過ごした。
 複視による影響も大きいと思うが、原因は何か、、、と考えると、私も夫もろくでもないことばかり考えてしまう。退院後は、こういう体調の変化に右往左往し、不安な気持ちに直面しながら生活をしていかなくてはならないのが現実だ。不安スパイラルに入ってしまった場合に、どうやって気持ちを立て直して行くかが課題。

 そんな気持ちで夫と話しをしていたら、思いがこみ上げてきて、不覚にも芽生の前で泣いてしまった。
 芽生はそれまで、手を大きく振り上げ太鼓のオモチャでトントンと遊んでいたところ、私の涙に気がつき、急に抱きついてきた。
 そして、「いいこ、いいこ」と小さく可愛いらしい声で言いながら、私の頭を撫でてくれた。
 まだ1歳8ヵ月の子どもがこんな行動に出るなんて驚くばかりだが、芽生は、実際に大きくて深い思いやりと優しさをすでに持っているのだ。

 これまでのトッチャやママ、大人達の騒動をじっと近くで見ていて、芽生ちゃんなりに理解をし体得してきたのだとしたら、とてもいたたまれない気持ちにもなるが、芽生の人間形成にとって少しでもプラスの方向に働いているのだとしたら、嬉しく思う。

 反面、芽生になぐさめられた私は、本当に情けない。強い母の娘のはずなのに。まだまだ母の風上にも置けない。