形跡

9月28日(金)

 昨日から夫の自宅リハビリ生活が始まった。家事などをこなしながら自宅で過ごし、まずは日常生活に慣れることが何よりものリハビリとのこと。

 さっそく、朝、芽生を保育園に送りに行くまでの支度をいろいろ手伝おうと一生懸命になってくれる。
 短い時間のなかで、芽生にご飯を食べさせ、着替えさせ、顔を洗い、歯を磨き、保育園に持って行く荷物一式をまとめる。かなり手間がかかる。規則的なことも多いので、夫は一生懸命覚えようとメモをとったりしている。真面目だ。

 入院中はバアバに手際良く手伝ってもらっていたので素晴らしくスムーズだったが、それを夫にバトンタッチできるかどうか。。。まぁ、それは当分無理で、時間がかかるのは織り込み済み。だけど、やりたい気持ちは伝わってくる。それだけで、嬉しい。

 芽生は朝から、あーでもないこーでもないとそわそわしている大人に囲まれ、なんだか嬉しそうにしている。我々の右往左往はよそに、マイペースに「パン、トマト、ウィンナー、、、」と朝食のメニューを全部言いながら食べ、愛嬌のある笑顔でニコニコ私達に笑いかけている。

 慌ただしく準備を終え、自転車置き場までトッチャが着いてくる。私達は自転車に乗り、「バーイバーイ」と大きく手を振ってでかけた。トッチャに見送られるのは、なんだか気分がいいものだ。本人はきっと、朝の慌ただしさに目が回っただろうな。

 日中は母にいろいろ教えてもらいながら、洗い物や洗濯や掃除をしたようだ。夫は母とは以前からとても仲がいい。母も夫の素直な性格が好きだし、夫も母の明るさや強さが大好きだ。お互い気を遣うこともあると思うけど、ともかくは、仲がいいのが何より。

 まだ火を使うのが危なっかしいので、電子レンジ料理のレパートリーを増やそうと、今日は、ルクエでスペイン風オムレツを作ってくれた。
オーロラソースをかけると美味いんだ」と、ケチャップとマヨネーズをぐるぐる混ぜたりして。
 もともと料理も好きなので、これを機にどんどんアイデア料理を披露してほしい。

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 やはり、夫が家に居てくれて、その存在の大きさをあらためて大事に思う。
 それは、身体の大きい大人が一人増えたことで感じる部屋の狭さや、部屋の温度が少し上がること、タオルをぐちゃぐちゃにかけることや、台所を汚すこと、声が大きいことや、少し匂うことなど、修ちゃんの形跡があちらこちらにあり、この家の空気や湿度が変わることで実感できることなのかもしれない。

 ただ、目の前に夫が居てその様子を確かめられることで、気持ちが安らぐ。そんな気持ちになれないような時も当然あるかもしれないが、今日のところは、修ちゃんの寝息と芽生の寝息を聞きながら眠りにつけるのが、本当に幸せなことだと思った。

 朝、芽生が目覚めたとき、ママとトッチャがじっと顔を覗き込んでいると、照れたような顔で満面の笑みを浮かべ、ぴょこんと起き上がる。
 3人で迎える朝はいつも明るい。