新生活
10月2日(火)
日曜日、義父、義母、妹達、父、母、家族が集まる。まずは、夫の退院報告、感謝や慰労、今後の治療や生活についての相談など、議題はいろいろ。
芽生は大勢の大人に囲まれ、嬉しそうにせわしなく動き回る。頭の汗がびっしょり。人がたくさん集まるとひとりひとりの顔を覚えようとするのか、目をパチパチさせ、観察するような表情で見渡している。
今後、しばらくは自宅療養をしながら社会復帰を目指すが、当面、抗ガン剤治療を続けていかなくてはならない。いろいろと不安は山積みだけど、家族に支えられて不安な気持ちも軽くなり、前向きに進んで行ける。
家族のありがたさをしみじみ感じる。
長らくお世話になった、実家の母も帰ることになり、今週からは親子3人の新生活がスタートする。母に頼ってばかりの私は、居なくなることに不安でとても寂しく思うが、ここは踏ん張って頑張らなくてはならない。
なにしろ、私も芽生の母なのだから。
今朝は、芽生が早起きし、一日のスタートは順調。夫も思ったよりも手際良く身支度をパッパとこなしている。自転車置き場まで3人で手をつないで行き、
「気をつけてなー」と大きい声でトッチャに見送られる。
威勢のいいスタートだ。
日中、夫ひとり家に居るのが心配でもあるが、あれこれネガティブに想像しててもしょうがないので、ここは思い切って、大丈夫だろう!と気持ちを強く持ち出勤する。
とはいえ、仕事の合間合間、気になってはメールをしたり電話をしたりして様子を伺う。あー、心配症はこれだから嫌だ。
午前中、弱い地震の揺れを感じ、即座に電話してみると、
「全然、気付かなかったよ。ピアノ弾いてたからさ」と。
なんだよ、優雅じゃないか。
夕方、芽生をお迎えに行って家に帰る。
部屋に入るなり、芽生は「ゼリーゼリー」の一点張り。熱烈な要望に負け、ご飯の前にみかんゼリーを三人で食べる。
おかげで、夕飯のシチューも納豆ご飯もあまり食べてくれず、今度は、甘い風邪薬とリンゴを欲しがる。
いつのまにか押しが強くなっている。そして、甘いモノが好きな子になりつつある。まずい。。。
夫は日中ひとりで過ごすのに、まだまだペースが掴めず、やや鬱屈とした表情。なにより複視の煩わしさが精神に影響しているようだ。
まずは、物理的な方法で気を紛らわしたほうがいいよねと話し合い、一日のタイムテーブルを細かく考えることにした。