優しい子


 新生活、怒濤の一週間が過ぎ、連休へ。やっと一息つける。
せっかくの休みだからと寝坊をしたいところだけど、芽生ちゃんがそうはさせてくれない。朝日が眩しくなるころは、しっかりと起きてせっせと活動を始める。
 朝一に絵本を読んだり、太鼓のおもちゃを叩いたり、お人形遊びをしたり。まぁ、にぎやかなこと。

 連休中は連日、友達が夫のお見舞い、様子を見に続々と駆けつけてくれた。

 土曜はさいとうさんが来てくれて、鮮やかな手並みで(?)表千家の茶道を振舞ってくれる。ほどよい濃さのお茶を「ズルッ」と音を立てて飲み干す。風流だ。そして楽しく談笑。修ちゃんの悩ましい気持ちにも大人の対応で、前向きなアドバイスをしてくれる。ありがたい。

 日曜は、さかんに芽生が「すべりだい!」と言うものだから、雨の中3人で近所のキッズパークへ出かける。芽生は全快で遊び、終始ご機嫌。パーク内は、「ワー、キャー」の大合唱で、子どもたちはグルグルと駆け回り私でさえ目が回る。
 修ちゃんにはこれ以上ないくらいの激しいリハビリだったようで、帰るとぐったり。
 しばらく休んでいると、ふくにし夫妻がやって来る。福西さんが無限の可能性ある脳の対応力の話しをしてくれ、それがとても励みになる。そして、いつものことながらmac関係の調整をしてもらったり、音楽や美術館の話しをしたり楽しく過ごす。

 連休最終日、月曜は、ラボとタロウさんが来てくれる。このメンバーだとおおかた音楽談議。これがまた、マニアックで楽しそう。ニールヤングだ、ビートルズだ、プリンスだ、あのアルバムジャケがかっこいいやら、ボブディランの詩がよく分からんやら、激しい音楽がどうだこうだ、、、とまぁ、止めども無くあーでもないこーでもないと音楽談議を繰り広げている。修ちゃんもここぞとばかりに音楽マニアを発揮し、そして、はばかることなくギャグを連発し、皆大笑い。

 芽生は、お昼寝の時間と重なりつつも、来るお客さん来るお客さんになんとなく馴染み、愛嬌のある笑顔で皆を幸せな気持ちにしてくれる。

 連日、修ちゃんを思い駆けつけてくれた友達が声を揃えて言う事は、
「修ちゃん、ぜんぜん変わってなくて、安心したよ!」と。
 顔色もいいし、生命力がみなぎっているというようなニュアンスのことを、皆、驚きながらもとても喜んで言ってくれる。修ちゃんのことを心から大事に思ってくれていて、本当にありがたい。温かい人ばかり。

 しばらく交友を不義理にしていたことで、心配を膨らませてしまっていたこと申し分けなく思う。
 病状については、重々しい事実はあるのだけど、何より会って今の修ちゃんを判断してもらえれば、変わらない修ちゃんの雰囲気、気さくさや面白さを感じてもらえるだろう。


 楽しい時間のあと、少し疲れたようで、横になって休んでいると、
「トッチャ、つかれちゃったぁ」とたどたどしく芽生が言っている。分かるんだなぁ、と感心していると、トッチャの背中にタオルケットをかけてくれる。
「芽生はやさしいなぁ。。。」とトッチャがしみじみ嬉しそうにしている。

 私は、どんどん優しい女の子に成長している芽生が愛おしくてたまらなく、ギュギューっと抱きしめる。
 ママに抱っこされながら、満面の笑みで横長にくちゃっとさせた顔がトッチャによく似ている。