いい夫婦の日


11月22日(木)

 ちょっと前までは、「パンダッ」とか「くまさんッ」とか「みかんッ」とか「もっかい」とか一語、一語たどたどしく話していた芽生は、今や、
「ママァ、今日おさかなたべたの〜」とか
「ママァ、ハロミン(ハロウィン)のおにぎり美味しかったの」とか
「ママァ、ピアスあいてるよ!」とか(これは特殊だけど)、立派に文を話せるようになった。
 熱っぽい芽生に「メイメイ、大丈夫?」と聞くと「だいじょーぶ」と答えたり。ある程度会話も成立する。
こうなってくるとコミュニケーションが本当に楽しい。


 夫の体調は日によって様々ではあるけど、なんとなくは平行線。毎日「今日はどう?」と聞いてみるが、すっきりした答えが返ってくる日はあまり無い。たいがい「ボチボチだね、、、」と。
 まぁ、ボチボチくらいでいいのだけど。というか病気でなくても、毎日の生活なんてボチボチなものだ。わたしも然り。
 ボチボチだと思えるような生活が送れるようになったくらい、人並みの日常が戻ってきているということだろう。


***


 今日は11月22日、「いい夫婦の日」。
 この日にちなんで、夫は私に薔薇の花をプレゼントしてくれた。赤、ピンク、黄色の三本。ママとメイとトッチャ。
 「いつも笑顔をありがとう」と、嬉しいメッセージカードも一緒で、感動。

 なるべく笑顔で過ごしていたことが、夫にとって励みになっていたようで、その気持ちが本当に嬉しくてお腹の底からオイオイと泣いてしまった。これまでの闘病生活のあれやこれやを思い出して余計に涙が溢れ、止まらない。

 それを見ていた芽生は、
「ママ、泣いてるの〜」と。
「メイチャン、嬉しいときにも泣くんだよ」としゃくり上げながら教えてあげた。
 芽生は、とうてい理解できてはいないようで、少し不思議な顔をしながらまた遊びに戻っていった。


 病気以来、辛く心配な思いは消えず、私はボチボチというよりシクシクと暮らしている日もけっこうあるけど、泣くほど嬉しいこともある。優しい夫のおかげで。