笑う門には福来たる

 
 
 いよいよ複視矯正用の眼鏡を作れることになり、喜び勇んで医療用専門の眼鏡店へ行く。荻窪駅で待ち合わせしたのだけど、私も夫も気合いじゅうぶんで、10分前にはお互い着いていた。

 物腰のやわらかいその眼鏡職人さんは、眼鏡にかける真摯な態度と説得力が素晴らしい。その筋のプロはやはり凄い。ホダされやすい私達は、その眼鏡職人さんに一気に惹かれ、全てお任せという気分になる。私まで眼鏡を作りたくなってしまった。
 これで、夫も煩わしさや生活の不便さからかなり解放されるだろう。出来上がりは来週、楽しみに待つばかり。


 芽生の誕生日は今月24日、クリスマスイブだ。
 ここはひとつ盛大にということで、ジイジとバアバが大きなクリスマスツリーを買ってくれた。
 体を左右に揺らし、歌いながらオーナメントを飾る姿が本当に可愛らしい。揺らし過ぎて転がったりもする。そして、クリスマスの歌ではなく「いぬのおまわりさん」を熱唱しながらってところが、また芽生らしい。本当に面白い子だ。
 夫もそんな芽生をニコニコしながら幸せそうに眺めている。

 
 カナダに住む大好きなご夫婦からクリスマスカードとカナダの名産がどっさり届いた。
 カードには「笑う門には福来たる」とはじまり、心暖まるメッセージ。先日、マチとアヤからもらったカードにも号泣したばかりだけど、またしても、うるうるしてしまう。

 芽生のおかげで私達家族はけっこう笑って過ごせているが、そこにはやっぱり “福” がちょいちょい舞い込んでくる。
 素敵な出会いだったり、友人からのサプライズだったり、そして、病状の安定もきっとそこにあるのだ。

 クリスマスには夫の眼鏡も出来上がり、クリアな世界を取り戻して芽生の誕生日を迎えられる。
 またリンゴを煮て、パンケーキを焼いて、メイプルシロップをたっぷりかけいただこう。
 歌いながら、笑いながら。