メイの誕生日


12月24日(月)

 クリスマス前の三連休。この休みはたっぷり寝ようと、目覚ましをかけない。すると芽生は8時過ぎまでグーグー寝ている。普段は、6時半に早起きをして保育園に行くのだから、小さいながらに結構過酷な生活なのだ。


 先日、夫の眼鏡が出来上がる。一応は以前より不便さが軽くなったようだけど、決して完璧ではないとのこと。眼の状態が日によって違うため、その中間を測定たものだから、ある程度のズレは仕方がないようだ。今後も調整しながら、慣れながらといったところ。
 でも、眼鏡自体はとてもよく似合っている。眼鏡に坊主、眼鏡にハンチング、眼鏡にソフト帽、お洒落な雰囲気だ。


 昨日は年末らしくベートーベンの「第9」を聴きに出かけた。
 夫は、眼鏡にハンチングで紳士っぽく、芽生はサチエにもらったドロップ柄の赤いチュニックにお帽子、私はワンピースにスカーフを巻いて。“年忘れ”にはもってこいのイベント。

 新日本フィルハーモニー交響楽団のまるでレコードのような演奏の綺麗さと完璧さに驚き、ただただ感動。間近で聴く「歓喜の歌」の大合唱に圧巻、ブラボーブラボーと。
しかし1曲75分はとっても長かった。

 演奏の間、芽生は託児所に。簡易託児所は初めてなので、少し心配で終演後急いで迎えにいくが、ニッコニッコ顔でキャーキャー言いながら室内をカケ回っている。さすがどこでも楽しめる体質。仲良しになったお姉さんにバーイバーイと言って興奮気味で帰る。

 帰りに入ったレストランで、両隣の席に生まれて数ヶ月くらいの赤ちゃんがいて、芽生は右を見ては「こっちも赤ちゃん」、左を見ては「こっちも赤ちゃん」と、うれしそうに言っている。自分だってまだ赤ちゃんみたいなもんなのに、その得意気がなんとも面白くて、夫と顔を見合わせて笑う。

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 今日は、芽生の2歳の誕生日。
 ちょうど2年前のけっこう早い時間に、芽生はササッと生まれてきた。朝早くに生まれたので、何となく持て余して一日が長かったことを思い出す。あれから本当にあっという間だ。そして今年の出来事は、特に人生を加速させている。

 午前中、家族写真を撮りに写真館へ。芽生はクリスマスっぽく赤いドレスに着替えて撮影。スタジオのお姉さんの異様なテンションの盛り上げもあり、3人ともいい笑顔で写真が撮れた。

 撮影後、芽生の好きなキッズパークでひと遊びし、帰ってお昼寝。起きてからバースデーケーキにろうそくを立ててハッピーバースデーを歌い、フーーっと一息で。
「メイメイのたんじょうびなの」と芽生は嬉しそうに何度も言っているので、ちゃんと今日のことを理解しているようだ。
 
 芽生は誕生日プレゼントにあげた「SLマンのアスレチックおもちゃ」で大興奮に遊ぶ。興奮しすぎて叫びながら部屋中を行ったり来たりしているほど。
 私は夫にクリスマスプレゼントにセーターをあげ、夫は木村カエラのCDをプレゼントしてくれた。

 ちょうど、夫の手術やなんやかんやで一番辛かった頃、ラジオで木村カエラの「Sun Shower」という曲がよく流れてて、その歌詞が胸に迫り、聴く度に泣いていた。
 退院した頃、車のラジオから流れてくるこの曲に夫もすごく感動して、2人そろって涙ぐんだ。私たちの趣味と心境にどんぴしゃにハマった名曲だ。
 
 芽生の誕生日に再びその曲を聴く。
 夫が病気で苦しんでいることや、私も辛いことがたくさんあるけど、何より芽生が無事2歳になり、健やかに私達のそばにいてくれることに感謝しながら、私はまた涙を流した。