オアシス

2月2日(土)

 芽生の通っている保育園は素晴らしい。

 先生方も気さくで優しく、遊び方もバリエーション豊富、しつけもしっかりしてくれるし、給食も美味しい。子どもたちも朗らかで可愛く、ママ友も素敵、非の打ち所がほとんどない。
 夫の闘病が始まってからこの半年間、芽生を安心してあずけられることで私も夫の看病に専念できたし、辛くてたまらない時もいつも、私のオアシスになっているのは間違いない。


 毎朝保育園に着くと、同じクラスの子供たちが元気に迎えてくれる。みんな兄弟姉妹のようでとっても仲がよく、仲良しのリンリンやエミカは私の膝にちょこんと座ってきたりする。我が子のように可愛らしくて私もギューギュー抱っこする。

 保育士さんや園長先生との交流もとても楽しい。子どもの体調を伝えたり、おもしろいエピソードを話してくれたり、とにかく笑顔が絶えずに過ごせる。
 先生達が、自分の子どもを親のように愛し育ててくれているのが伝わってくる。そのことが安心と信頼に繋がっているのだろう。

 出勤に急ぎつつも仲良しのママ友たちとも、子育て談議に花が咲く。みんな元気で朗らか、魅力的なママばかりだ。細かいことはそれぞれにあると思うけど、きっと子育てが充実しているのだろう。

 毎朝、保育園に行きたくてたまらないのは、芽生だけじゃなくて、私もなのだ。

***

 今日はいちご組最後の懇談会。一年間の思いをみんなで感慨深く話したあと、子どもたちと一緒にリズムの時間を体験する。

 先生のピアノに合わせて、お馬さんやお魚さんやカエルになって、ホールの隅から隅まで走り、ジャンプする。これがけっこう激しい動き。ときどき“決め”のポーズをとったりして。
 そういえば家でも芽生がさかんに「見て見て〜!」と片足を上げてポーズをとっているのは、これなのだと合点がいく。

 リズムのあとは、コミュニティセンターに移り、みんなでお弁当を食べる。芽生は両手におにぎりを持ってバクバク食べながら、リンリンに「おいしね〜!おいしいね〜!」としつこく迫っている。リンリンは少しお姉さんふうに澄まし顔。その光景がおかしくてたまらない。

 ママ友たちともあれやこれやと子育て話で、大笑いしながら大いに盛り上がる。吉祥寺っていう場所柄か、オシャレでユーモアのあるママが多い。そんなところも気に入っている。

 子どもたちは、座布団を高く高く積み上げて、それが不安定にフラフラし、崩れるてくるのに大興奮。芽生は興奮しすぎたのか、誰かにぶつかったのか、座布団に埋もれながら大泣きしている。
 こんなてん末が本当に子どもらしい。私は、終始、幸せな気持ちいっぱいで過ごした。

 子どもたちの興奮をしずめようと、先生が指人形を使った歌遊びを始めてくれる。すると、さっきまで座布団に埋もれはしゃいでた子供たちが、横並びにビシッと整列して座り、静まりかえって食いつくように見始める。まるで魔術師のよう。
子どもたちは知っている歌を一緒に歌ったり、お同じところで大笑いしたり。
本当にみんな可愛らしい。


 子どものおかげで、新しい出会いに恵まれ、新しい世界を楽しませてもらっている。そう思うと、夫の闘病生活でも同じように新しい出会いに恵まれ、新しい世界を体験している。
 ものすごく激変する環境で過ごすこの一年。

 楽しい環境にはすぐに慣れたが、厳しい環境にはようやく慣れつつあるところ。。。