緊急
8月13日(火)
昨日から始まったテモダール治療第11クール目。
夫は、壮絶な吐き気との戦いになった。
身体を起こすと強い吐き気を伴い、食べ物や水までも全て吐き戻してしまう。
頭痛や首の痛みもうったえ、ほとんど起き上がることができない。
この治療はこれまでと同じことで、これまでは大丈夫だっただけに、今回に限っての急な病変に、私は焦り、不安で狼狽える。
抗ガン剤の副作用なのか、他に何か原因があるのではないか、脳の状態がどうかなってしまったのか、いつものようにあれこれ邪推する。
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それでもメイは、朝から元気いっぱいにあっちこっちと走り回り、たまに
「気持ち悪いの? トッチャ〜」と声をかける。
そして、横たわるトッチャのそばにおママごとセットを広げて遊び出す。
「トッチャ、ご注文は?」とか言って。
メイなりにトッチャのことを察しながらも、遊んで欲しそうにする姿に、私は涙ぐんでしまう。
トッチャも身体は起こせないが、笑顔でメイの相手をする。そのことで癒されているのは間違いない。
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予定していたお盆休みの帰省計画は狂ってしまい、母とゆかりちゃんと一緒に、メイは一足先に実家に帰省していった。私はあとから追いかける予定。
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メイの騒々しさが消えると、夫はまたトイレに駆け込み、猛烈に吐き出す。
私はこの異常な事態に不安が溢れ、病棟に電話を入れる。
「すぐ来て下さい」と言われ、緊急に連れていくことにした。
ちょうど遊びに来てくれた義弟の昭治くんに付き添ってもらって。
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緊急外来で、採血やCT、心電図、レントゲンを撮る。
そして、水分も栄養もほとんど取れない状態は危険ということで、即入院となった。
この異常な吐き気の原因は、抗ガン剤の副作用だけというわけでもなく、いろいろと考えられ、これから検査をして探ると。
そして、今後の治療も話し合う。
だけど、差し当たっては、
早く彼の吐き気と頭痛を少しでも和らげてあげてほしい。
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夕方、ヒロミとたかおも駆けつけてくれる。
狭いスペースに大人4人で修ちゃんを囲み、修ちゃんは依然うずくまりながらも、たまに、私たちのくだらないおしゃべりに口を挟む。
「イトコの子どもはハトコだ」とのたかおの言動に
「たかお、それはちがう!」と。
そんな修ちゃんに、皆、心からホッとする。
***
私は夫を病院にお任せすることで、少し不安から解消される。
夫の苦しみをなんとか和らげてあがたかったし、衰弱しきった夫を目の前に生活するのは、私自身本当に辛かったから。
もちろん、先々の不安は言いきれない程だけど、
今日は今日で最善を尽くせたのだから良しとする、
と自分に言い聞かせて就寝する。