白いテープ
8月19日
朝、メイは久々に我が家の布団でゴロゴロしながら、
いつも隣に居るはずの大きなトッチャの姿がなく、
「ママぁ、トッチャがいないと寂しいね」
と小さな声で言ってくる。
私はメイをじっと見つめ、「そうだね。。。」と。
遠い目になる。
*
今日はメイを連れて病院へ。
メイはトッチャに会うのは約一週間振り。
病室に入ると、メイはサンダルをパタパタさせてトッチャに駆け寄る。
ベッドサイドにちょこんと立ち、顔をのぞき込む。
メイの顔は、ちょうどベッドの位置と同じくらいのところ。
トッチャは依然、頭痛と吐き気がおさまらず、身体を起こす事ができないが、
メイの顔を見て、急ににこやかに、顔色が良くなる。
何よりもの特効薬。
メイはトッチャの人差し指に巻いてある白いテープが気になり(脈拍などを管理するもの)、
「トッチャ、指が痛いの?」と不思議そうに尋ねる。
小さいメイにとっては、トッチャの病気が脳腫瘍だということは分かるわけもなく、
目先にある白いテープが、トッチャを苦しめている原因だと推測しているのだ。
原因はなんでもいい。
メイなりに、トッチャを気遣う気持ちが
とてもとても健気で、私は涙が溢れてきた。
*
夫は、お見舞いに来てくれたジョーさんともしばし談笑する。
穏やかなジョーさんと、言葉少なながら、楽しそうに。
*
ジョーさんとメイとバアバが帰ったあと、
「メイに会うと元気になるでしょ?」
と私がきくと、
「元気になるっていうか、元気にならなくちゃって思う」
と夫は答える。
本当に、その通りだ。
きっと、トッチャならやれる。早く家に帰ってこい!
その意気込みで、明日のアバスチン治療に備える。