異次元に頼る


9月2日(月)


ここのところ、夫の眉間の “太い皺” は、あまり緩むことがなく、厳しい表情が続いている。

ほとんど絶え間ない頭痛に悩まされる上、食べ物、飲み物を吐き戻す回数も増えている。
記憶の混乱も時々見られる。


先週の土日、大勢のお見舞客を持て成していた姿とは、明らかに様子が違うこと、衰弱してきていること、認めざるを得ない。
本人の辛さが伝わってくるだけに、私はその姿に、度々、涙が溢れる。


それでも、メイが目の前に現れると、表情は明るくなり、猫なで声で
「おぉ〜〜! メイかぁ〜!」と嬉しそうにする。
やっぱり天使の力はすごい。


***


現在、出来る限りの最善の、最新の治療は全てやっているが、
その上でのこの状態を、なんとか打破すべく、
私と兄弟姉妹は、皆で力を合わせ “氣の玉” を作り、
修ちゃんに浴びせる。


両手をこすり、右手と左手の内側に気を廻らすイメージ。
すると、両手が反発し合うような感覚になる。
そして、なんとなく“氣の玉” が出来ているような気がする。

修ちゃんのベッドを囲み、皆で立ち上がって、フワフワと手を操作する姿は、少し異様だろうけど、
そんなことは構っていられない。
我々にできることは何でもやるのだ。


こうなったら、奇跡を起こすため、
「祈り」とか、「気功」とか、「笑い」とか、そういう異次元なパワーあるものに真剣に取り組みたくなる。

特に「笑い」で発生するナチュラルキラー細胞は、免疫力を高め、ガンの治癒力を高める作用があると、世間一般でも言われていること。
彼を “笑い攻め” とかにしたら、効果が出るかもしれない。


***


明日からアバスチン投与(第二回目)を行うこと、主治医の先生から説明を受ける。
前回は頭痛が軽減したこともあり、その効果を大いに期待したいところ。


真面目な主治医の説明をひとしきり聞いたあと、私は、
「先生、回診にくるときには、小話のひとつでもして、彼を笑わせてやってください!」
とお願いした。

真面目な主治医は、
「それは大変です。ネタがもちません。ははは。。。」
と真面目に答えてくる。


そのやり取りに、修ちゃんが声を上げて笑っていた。



ムーさんからいただいた、豪徳寺の元祖招き猫。奇跡を招け!